元朝秘史秘史秘史【「元朝秘史秘史」プレー記録集】

後日談とセーブデータ(2)

どうにか邪神デルニソスを一発の攻撃で葬り去ることができました。私が勝手に妄想したゲームの中でのその後の大陸の動きと、今回のプレーのセーブデータを載せました。

■目次

■後日談

「ん……」

彼女は不意に眼を覚ました。ぼやけた視界に飛び込んできたのは、岩肌が剥き出しの天井に、今にも滴り落ちんばかりに膨らんだ岩清水だった。

見れば、急ごしらえで用意したベッドの上あたりである。あれが眠りを妨げたのか。そう思った。

その瞬間、重力に任せ、水滴は空中に絹糸のような一直線の軌跡を残した。だが、彼女は濡れたとも冷たいとも感じなかった。

ようやくにして彼女、アルトゥーリアは思い出した。かつてダークエルフの長を魅惑した、自慢の美しい肢体が、右臀部からつま先にかけてその姿を欠いていることを。

復活した邪神の殲滅をもって、帝国の、アルトゥーリアの野望は潰えた。

押しも押されもせぬ勲一等は、大神官ユレマール。公式な論功行賞は未だ成されていないが、半島の帝国旧領4都市を任せられるのは、誰の目にも彼女が適任であると思われたし、次のザーコイルの言葉がその観測をより強いものにさせた。

「なにぶん闇の民である。今すぐにでも彼らの鎮撫にあたってもらいたい」

彼女は誉れある「駐留軍総司令官」としての任を拝命し、凱旋する国王を見送った。


ユレマールには意外なことに、それはさほど困難な仕事ではなかった。理由は、この地の多くの民衆が「地上の太陽」ユレマールの恐ろしさを体験しているためであった。

「鎮撫」ではなく「畏服」ではあったが、彼女にとっては自尊心をくすぐられる、満足な結果であった。

嬉々として、取り急ぎ本国への中間報告書をしたためようとしていたその矢先、急報が飛び込んできた。ユレマールには寝耳に水の、ザーコイル主導によってまとめられた大陸統治の基本政策案であった。

なぜ私は目覚めたのだ。寝起きの倦怠感の中、アルトゥーリアは自問した。

だがすぐにその自問は掻き消えた。いや、自問は続いている。内容が「なぜこの私が、このような辺鄙なところで目覚めなくてはならないのだ」に変わったのである。

その答えは至極簡単である。あの光の巫女のせいだ。私の体をこのような醜いものにしたばかりでなく、我が父なる、邪神デルニソスをいとも簡単に消し去った、あの娘のせいだ。

アルトゥーリアは歯噛みした。この体が元に戻りさえすれば、必ずやあの娘を越えてみせよう。惜しむらくはその頃、あの娘は寿命をとうに過ぎているのだ。あの娘に負けたという我が生涯の汚点は、永遠に消すことができないのだ。

「ユレマールめ……」

その名前を出した途端、アルトゥーリアの頭によぎるものがあった。先程から感じている倦怠感、これは本当に目覚めた際に感じるそれであろうか。そうではなく、戦場で感じた、あの娘が発する「光の波動」なのではないか。と。

目覚めた原因を理解した。倦怠感は緊張に変わった。

ディルガド王国の女性は、総じて男性よりも気が強い。その特徴的な人格の形成の要因には、国自体が持つ尚武の気風が挙げられる。また戦場に父親が駆り出され、家庭で母親が多くの役割を担い、子らがそれを見て育つというのもある。

そのことについての詳しい言及はこれ以上は避けるが、ときおり、政府中枢においてもバー・ラスケスのような女傑が幅を利かせることがある。


ユレマールもまた「ディルガド女」の一人であった。彼女の「ディルガド女」らしさは、先天的なものか、あるいは要職に任じられた驕りが生み出した後天的なものか、それはわからない。ただザーコイルは、ユレマールの実力を認めながらも、次第に彼女を忌避するようになっていた。

ザーコイルが先の「駐留軍総司令官」の役をユレマールに命じたのはなぜか。理由の一つは、確かに彼女が最も適していたからだ。

だが彼にとって最も大きな理由は、戦後統治のグランド・デザイン構築に、ユレマールを関わらせたくなかったからだ。バー・ラスケスの二の轍は踏みたくない。既成事実を積み上げ、ぐうの音もあげさせない。そうすることで国王としての沽券を保てる、彼はそう考えていた。

かつ、もしユレマールが失敗すれば、格好の排除の口実にできる。ザーコイルは、一人ほくそ笑んだ。

アルトゥーリアは気の遠くなるほどの「光の波動」の中、どうにかして精神を研ぎ澄ませた。

隠れ家にしているこの古代魔法遺跡に入ったとき、死力を尽くして5重に結界を張り巡らせておいたはずだ。

1つ、2つ……3つ…………それ以降は反応が無かった。

気を緩めようとした瞬間、胸に強い衝撃が走った。3つ目の結界が破られたのだ。

体全体を、波打つように蝕む光の力がより強くなった。

アルトゥーリアは、傷ついた体にどれぐらい力が残っているかを確認した。かろうじて「エネルギーボルト」1発を放てるだけだった。

「脳か心臓……的を絞り、針のようにして突き刺せば、あるいは……」

皮算用は無駄だった。新たに結界が破られたのがわかった。とても魔法など練れる状況ではない。感じるのは、もはや光の「爆風」と言ってよかった。

ユレマールとこれほど早く対面するとは思っていなかった。「影に生きる者達」の報告によれば、統治は滞りなく行われているという。

執務室において、ザーコイルはねぎらいの言葉をかけた。ユレマールはそれには応えず、人払いをするよう願い出た。

気配が消えると、ユレマールは畳み掛けた。むろん、戦後処理についてである。

ザーコイルの考えは、以下の2点を中心とする。

ユレマールは反論した。このような緩やかな秩序では、大陸が再び戦火に見舞われるだけだ、と。

ザーコイルはこの大陸戦争において、あらゆる騎士を味方につけてきた。対話をもってすれば、種族間の障壁をも克服できるという確信を持っていた。


ユレマールは違っていた。「騎士の国」の臣民として、その剣の下に全てを臣従させることがディルガド王国のあるべき姿だと信じていた。大陸の覇者として、そうする資格を有していると思っていた。強力な独裁支配を敷き、災いの芽を未然に摘み取ることでしか恒久的な平和は獲られない。それが彼女の考えだった。

光神エフティールの代弁者として、全土に号令するという野望がなかったとは言い切れない。が、彼女には恐れがあった。それも光の神に起因する。敵となる闇の勢力を滅した世界においては、ディルガド王国はいかほどのイニシアチブを執れるのか。「大陸会議」は機能するのか。それがザーコイル案に対する、彼女の危惧であった。

「これがかつて世界を恐怖に陥れた皇帝代行かしら」

ユレマールは不敵な笑みを浮かべた。

想像以上の光の力だった。万全な状態ならばともかく、瀕死のアルトゥーリアにとってはとても耐えられそうになかった。かろうじてその意識を保たせているのは、憎しみの心ただ一点のみであった。

にじり寄るユレマール。近づいてくるにつれ、アルトゥーリアの心の中に恐怖が増殖し、憎悪を侵食していくのがわかった。

蛇に睨まれた蛙だった。蛇は蛙の腕を掴んだ。灼けるような熱さが、皮手袋の上からも伝わった。力強いまなじりに、涙がにじんだ。

ザーコイルが欲したのは、天下を私しない「清廉なる王」としての名声だった。そのために対話を積み重ねてきたのである。建国の祖・オルドリッチに比肩する勇者として、永遠に大陸史に刻ませる腹積もりである。

ザーコイルは対外的イメージをとみに重要視する男である。

彼がバー・ラスケスを表立って処罰せず、捕らわれの身に陥ったのはなぜか。バー・ラスケスはあたかも大悪人のように見られがちだが、王国の母親たち―ディルガド女たち―からの信望は篤かった。王国で重きをなす女性は、ディルガド女の誇りである。

国の半分から支持を失う決定が、ザーコイルに為せるだろうか。言うまでもない。

彼ができる抵抗は、秘密裏にバー・ラスケスに対する風説を流すぐらいであった。だが、あの頃は頼りなかった「影に生きる者達」も、いまや大陸最高のスパイと化した。

ザーコイルは思った。ユレマールはザーコイル像を照らす「後光」としてあれば良かったのだと。そしてもはや、彼女は「逆光」でしかないのだと。


ユレマールは外国使節のための客間に通された。飲みなれないワインに頬が赤い。

議論は白熱し、外は夜の帳が下りている。ザーコイルから「休戦」を申し入れられた。

バイワノール・アーレディタルと4人で会食した。ユレマールは心からこの2人を祝福した。

席上、ザーコイルはこう言った。「この国のことを一番考えているのはユレマールだ。国王として頭が下がる思いだ」と。国とともに新たな門出を上げるであろう2人も、優しく微笑んだ。ユレマールは満足だった。

ベッドに腰をおろし、世界のあり方を考え直そうか、ふとそんな風に思ったりもした。


客間の明かりが消えてしばらくの後、王都ディルザムが揺れた。

爆心地は王宮だった。現場には灰燼にまみれた、瀕死の諜報機関の長・アシュキールが倒れていた。最上級に遇された、大神官ユレマールの姿はどこにもなかった。

グリムスで政務に就いた当初から、ユレマールは気づいていた。半島の突端、ある一区画だけが不自然に光の力を寄せ付けないことを。余人ならば無理だったろう。

だが賭けでしかなかった。それでも命を狙われる以上、もう祖国を捨てるしかない。

往時を偲ばせる遺跡の入り口を見つけ、明らかに闇の力による封印を見つけたとき、賭けは確信に変わった。


ユレマールはアルトゥーリアの手を取り、自らの頭に載せた。髪の毛からも光の力が伝わる。もはや限界だった。その命も尽きかけようとしたとき、アルトゥーリアは耳を疑った。

「我等が母なるファウエーよ、今こそその闇の力を我に与えん」

光の力がしぼんでいくのを感じた。

「我今こそ光を滅さんと欲す。闇が生み落とせし子、アルトゥーリアが証人なり」

闇の力が穴倉に広がる。アルトゥーリアは何が起こっているか理解ができなかった。気づいたときには、失われたはずの右足はその美しさを取り戻していた。


「何が望みだ」

ようやくにしてアルトゥーリアは声を絞り出した。目の前にいる強大な闇への改宗者は、しばらくの沈黙の後にこう言った。

「大陸全土を覆いつくす、地獄の門を見てみたいわ」

■セーブデータ

デルニソス撃破直前のセーブデータをアップしておきます。(ザーコイルと)ユレマールのユニットは、グリムスとドレンタイトの間にいます。「未行動ユニット」のアイコンを選択すればフォーカスがいきます。

内容

使用にあたって

上書き予防のため、最後の20番目のセーブファイルを用意しました。

"Dinar20.rb2"ファイルをそのまま、「Program Files」>「KOEI」>「Royal Blood II」フォルダ内に入れてください。

もし20スロット全てが埋まっている場合は、あらかじめ、あなたのセーブデータのバックアップを取った上で行ってください。

注意・免責事項

当セーブデータの再配布は認めません。

当セーブデータの利用によって何らかの障害が生じたとしても、その原因が当セーブデータのバグや意図された動作によるものであるか否かを問わず、私、ひしひしはその責任を負いません。

利用者の自己責任において使用して下さい。

■デルニソスの倒し方

デルニソスの倒し方・その1

都市の背面(右上)から攻めます。

右の図は、最終決戦の第1戦を模したものです。行動順は、イル・ヴァンダ>ザーコイル>ハーピー(酉)>ユレマール>リザードマン(巳)となるかと思います。


まずここですべきことは、図の赤丸で示した障害物(樹木)を破壊することです。近づいて来るハーピー・リザードマンを利用して魔法を放ちましょう。ザーコイルには村正(練気の祈り)を持たせています。

イル・ヴァンダのアローレインには注意。ザーコイルは別に当たっても構わないんですが、ユレマールが攻撃を受けると士気が下がることがあります。

壊して更地にした後は、ユレマールに「スターライト」をリセスの胸当てで唱えさせ、「光の結晶」攻撃。対デルニソス時は画面左上の天候表示が晴れであることを確認した上で。

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元朝秘史秘史秘史デルニソスを一撃で倒す後日談とセーブデータ(2)
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